独学の始め方

大人のピアノ独学は何から練習する?初心者が鍵盤の前でやる5ステップ鍵盤の前に座ってから最初の1曲まで

最初の5ステップ

先に結論

最初の練習は真ん中のドと手の形からです。指番号、楽譜、左手、最初の1曲の順に、合図が出たら次へ進みます。

  • 黒鍵2本組の左のドを基準に、座る位置と丸い手の形を決めます
  • 次の手順へ進む目安は日数より、手順ごとに決めた合図です
  • ハノンやペダルや原曲の楽譜は、最初の1曲を通してからで間に合います

ピアノの独学を始めた大人が最初に止まるのは、教本を開いたあとです。1ページ目から進めていいのか、楽譜の読み方を先に覚えるのか、どの指で押すのかが一度に気になり、手が動かなくなるのです。

この記事は、ピアノの鍵盤の前に座ってから教本の最初の1曲を通すまでを5つの手順に分け、手順ごとに次へ進んでいい合図を付けました。対象は、ピアノを習ったことがない初心者と、子どもの頃に少し習って独学で再開する人です。

ピアノ独学は何から?最初の1曲までの5つの順番と次へ進む合図

この章の答え

真ん中のドを見つけて手の形を決め、指番号を覚えて右手で弾き、楽譜を読み、左手を足し、教本の最初の1曲を通す順に進みます。次へ進む目安は、手順ごとに決めた合図です。

この順番にするのは、前の手順でできたことを次の手順でそのまま使うからです。手の形が決まらないまま指番号を覚えると、押すたびに指の位置がずれてしまいます。楽譜だけ先に覚えても、読めた音を鍵盤で探す時間がかかるでしょう。

ピアノ初心者の独学で遠回りになりやすいのは、教本を飛ばして弾きたい曲の楽譜から入る進め方です。知らない音と指使いが一度に出てくるので、楽譜の縦線で区切られたひとまとまり(小節)ごとに手が止まるのです。教本の最初の曲までを5つの手順で練習しておけば、弾きたい曲に入ったときも同じ手順で読んで弾けます。

  1. 手順1 真ん中のドと手の形

    黒鍵の2本組を目印に真ん中のドを見つけ、座る位置と丸い手の形を決めます。合図は、目をつぶっても真ん中のドに右手の親指を置けることです。
  2. 手順2 指番号と右手

    指番号を覚え、右手でドからソまでを1音ずつ弾きます。合図は、ドからソまで上がって下りるまで止まらずに弾けることです。
  3. 手順3 楽譜を読む

    真ん中のドの周りの5つの音と、音の長さの数え方を覚えます。合図は、教本の最初の曲の右手の音を、鍵盤に触る前に声に出して読めることです。
  4. 手順4 左手を足す

    左手も同じ形で置き、短い区切りごとに両手で合わせます。合図は、1つの区切りを両手で止まらずに弾けることです。
  5. 手順5 最初の1曲

    教本のはじめの短い曲を通します。合図は、同じ指番号で止まらずに3回続けて弾けることです。

ピアノ教室のレッスンなら、次へ進む時期は先生が決めてくれます。独学ではその判断を自分でするので、代わりに合図を置きました。

合図を日数で決めないのは、1日に練習できる時間が人によって違うからです。1日10分の人と1時間の人では、同じ合図が出るまでの日数が変わります。自分が遅いかどうかは日数で比べず、1日ごとに、前の日より合図に近づいたかで見てください。

合図が出るまでは同じ手順を続け、出たらその日のうちに次の手順へ進んで構いません。

楽器と教本が1冊あれば始められる。準備で止まらない

ピアノの独学で鍵盤の前に置いておくものは、多くありません。手順1から5までに使うのは、次のものだけです。

  • 電子ピアノか、鍵盤が並んだキーボード
  • 大人の初心者向けの教本1冊
  • 書き込み用の鉛筆と消しゴム
  • 演奏の録音に使うスマートフォン

楽器や教本をまだ持っていない人もいるでしょう。そろえ方と最初の1か月の練習の組み立ては、大人のピアノ独学で用意する3つと1か月の練習メニューにまとめています。

家にあるキーボードで足りるか迷うなら、大人の初心者向け電子ピアノを選ぶ4つの条件で鍵盤の条件を確かめられます。

手順1:真ん中のドを見つけ、座る位置と手の形を決める

この章の答え

黒鍵が2本並んだ所のすぐ左の白鍵がドです。鍵盤の左右の真ん中に一番近いドを真ん中のドと呼び、その正面に座って、手を軽く丸めた形で置きます。
電子ピアノの鍵盤の中央に、軽く丸めた右手を置いている大人の手元

真ん中のドから始めるのは、楽譜の読み方も両手の位置も、この音を基準に説明されるからです。初心者向けのピアノ教本の多くも、最初のページはこの音から始まっています。

ピアノの黒鍵は、2本の組と3本の組が交互に並んでいるのが目印です。2本組の左隣の白鍵がドで、そこから右へ白鍵をたどると、レミファソラシと続きます。

鍵盤の数が少ないキーボードや電子ピアノでも、探し方は変わりません。キーボードで練習を続けられる範囲は、電子ピアノとキーボードの違いと練習に足りる範囲で確かめられます。

座る位置と手の形で見るのは、次の点です。

  • おへそが真ん中のドの正面に来ている
  • ひじが鍵盤とほぼ同じ高さにある
  • 手首が鍵盤より下に落ちていない
  • 指先が軽く丸まり、指の先で鍵盤に触れている
  • 肩が上がっていない

手の形は、ひざの上に手を置いたときの丸みのまま鍵盤に乗せると作れます。指を伸ばして平らに押すと、指先に力が伝わらないので、音の大きさがばらつくのです。

椅子の高さは、ひじと鍵盤がほぼ同じ高さになる位置に合わせます。低すぎる椅子では手首が下がり、指先で鍵盤をとらえにくくなるでしょう。高さを変えられない椅子なら、座布団を重ねて高さを足すと調整できます。

ピアノの前に座るたびに同じ位置に座れるよう、真ん中のドの正面に来る椅子の位置を床にテープで印を付けておく方法もあります。毎回の練習を同じ姿勢から始められるので、手の形も崩れにくくなるはずです。

目をつぶって、右手の親指を真ん中のドに置く動きを3回続けて試します。

ずれずに置けたら、手順2に進む時期です。

手順2:指番号を覚え、右手でドレミファソを弾く

この章の答え

指には親指から小指まで1から5の番号が付いています。右手の1を真ん中のドに置き、1本の指で1つの音を受け持って、ドからソまでを弾きます。

指番号を先に覚えるのは、ピアノ教本の音符の近くに書かれた小さな数字が、どの指で押すかの指示だからです。

指番号とは、指に付けた番号のことをいいます。左右どちらの手も親指が1で、小指が5です。人差し指は2、中指は3、薬指は4と数えます。

右手の1から5の指を、ドからソの白鍵に1本ずつ乗せた置き方が、この記事でいう「ドの位置」です。真ん中のドは1つの鍵盤のことで、ドの位置は5本の指の置き方のことです。

  1. 右手の1から5を、ドからソまでの白鍵に乗せる
  2. 1本ずつ押して離す。押していない指は鍵盤の上に置いたまま
  3. ドからソまで上がり、ソからドまで下りる
  4. 指番号を声に出しながら同じ動きを弾く

押した指を上げてから次の指を押すと、音が途切れます。

次の指を押してから前の指を上げれば、音はなめらかにつながるはずです。

薬指と小指は、ほかの指より動きにくい指です。4と5の音だけ小さくなるなら、その2音だけを5回ずつ押してから全体に戻すと、音の大きさがそろってきます。

声に出すのは、目で見た数字と指の動きを結びつけるためです。慣れてきたら声を出さずに弾いてみて、指が迷わず動くかを確かめましょう。

同じ5つの音を行き来するだけの練習に、退屈を感じる人もいるでしょう。合図が出れば、その日のうちに手順3へ進めるのがこの手順のよい所です。ここで指番号が身につくと、教本の曲で指を探す時間が減ります。

合図は、指番号を言われてすぐその指が動き、ドからソまで上がって下りるまで止まらずに弾けることです。

指番号のない楽譜で指を決める方法

弾きたい曲の楽譜には、指番号が書かれていないものもあります。その場合は、弾く前に自分で決めて鉛筆で書き込んでおきます。

  1. 1つの区切り(歌なら息つぎをする所まで)の最初の音に、どの指を使うかを決める
  2. 使う音が5つの範囲に収まるなら、ドの位置と同じように1音に1本を割り当てる
  3. 右手では、上がっていく音は小さい番号の指から、下がっていく音は大きい番号の指から始める
  4. 5本で足りない所だけ、親指をくぐらせる形を書き込む

親指をくぐらせるとは、中指や薬指で鍵盤を押さえたまま、親指を手のひらの下に通して先の鍵盤へ移す動きです。書き込んだ所は、弾く前に2、3回ゆっくり動かしておくと指が迷いにくくなるでしょう。

自分で決めた指で弾きにくい所は、書き直して構いません。書き直したあとは、毎回同じ指で弾いてください。弾くたびに指が変わると、指が順番を覚えられず、同じ所で止まり続けるからです。

迷ったときは、教本の中から似た音の並びを探します。そこに付いている指番号をまねると、無理のない指使いが決まります。

手順3:楽譜は真ん中のドの周りだけ読めればいい

この章の答え

最初に読めればいいのは、右手で弾くドからソまでの5つの音と、音の長さの数え方です。楽譜全体の読み方は、曲に新しい音が出てきたときに1つずつ足していきます。
教本の楽譜を開き、音符の下に鉛筆で小さくドレミを書き込んでいる大人の手元

読む範囲を絞るのは、手順2で弾けるようになった5つの音と楽譜の位置を結びつけると、覚える量が少なくて済むからです。楽譜に引かれた5本の横線を五線と呼びます。右手の音は、段の左端に渦巻きのような記号(ト音記号)が付いた五線に書かれています。

音ト音記号の楽譜での位置
ド(真ん中のド)五線より下に1本だけ足した短い線が、音符の真ん中を通る
レ五線の一番下の線のすぐ下
ミ一番下の線が、音符の真ん中を通る
ファ下から1本目と2本目の線のあいだ
ソ下から2本目の線が、音符の真ん中を通る

文字だけで位置が浮かばないときは、教本の最初の曲の音符と、この表を1つずつ見比べてみてください。

音の長さは、拍という同じ間隔で数えます。1拍は、声に出して同じ速さで「いち、に」と数えるときの1つぶんです。黒い玉に棒の付いた4分音符が1拍で、白い玉に棒の2分音符は2拍、白い玉だけの全音符は4拍になります。

  • 鍵盤に触る前に、教本の曲の音名(ドレミの呼び名)を声に出して読む
  • 読めたら、同じ曲を手順2の指番号で弾く
  • 音を出さずに休む印(休符)や、音符の右に付いて音を長くする点(付点)は、教本に出てきたページで覚える

楽譜を見ながらピアノを弾くときは、最初の1音だけ鍵盤を見て右手をドの位置に置き、そのあとは楽譜に目を置いたままにするのがコツです。曲がドからソの中で動くあいだは指がドの位置から動かないので、鍵盤を見なくても指番号どおりの音が出ます。

楽譜にドレミを書き込んでもいい?外していく順番

書き込んで構いません。

ただ、書いた文字だけを読み続けると五線の位置が頭に入らないため、曲が進むごとに書く量を減らしていきます。

  1. 最初の曲は、全部の音符の下に鉛筆でドレミを書く
  2. 次の曲からは、同じ音の2回目以降は書かない
  3. 真ん中のドとソには書かず、ほかの音だけに書く
  4. 楽譜をコピーして書き込みはコピーにだけ入れ、元の楽譜で弾けるか試す

ドとソから外すのは、真ん中のドは五線の下の短い線、ソは下から2本目の線と、目印を見つけやすい音だからです。弾けるようになった行から書き込みを消していくと、どこまで読めるようになったかが目で分かります。

書き込みは、外す順番を決めておけば、読めるようになるまでの補助として使えます。

ヘ音記号は、左手を使う段階で足せばいい

ヘ音記号は、段の左端に付いた、右側に点が2つ並んだ記号です。この記号の付いた五線には、主に左手の音が書かれています。右手だけの手順2と3では出てこないので、読み始めるのは手順4で左手を足すときで十分でしょう。

ヘ音記号の段では、同じ線の位置でもト音記号の段とは別の音を指します。全部を覚え直すのではなく、真ん中のドから数えて読むのが近道です。

真ん中のドは、ヘ音記号では五線の上に短い線を1本足した位置です。そこから下へ、シ、ラ、ソと1つずつ数えていきます。読み違えたときも、真ん中のドから数え直せば正しい音にたどり着けるでしょう。

手順4:左手を足し、片手ずつ弾けた区切りを両手で合わせる

この章の答え

左手は小指を真ん中のドの1つ下のドに置き、右手と同じように1本に1音を受け持ちます。両手は、片手ずつ弾けた短い区切りごとに合わせます。

区切りごとに合わせるのは、ピアノを両手で弾くと左右の指を同時に考えるぶん、片手では弾けた所でも止まりやすいからです。区切りは、歌なら息つぎをする所までを目安にしてください。

左手は小指が5、親指が1です。真ん中のドの1つ下のドに5を置くと、親指はソに来ます。

  1. 右手だけで、1つの区切りを弾く
  2. 左手だけで、同じ区切りを弾く
  3. 片手のときよりゆっくりにして、両手で合わせる
  4. 3回続けて止まらずに弾けたら、次の区切りへ進む

左手が長い音を伸ばしているあいだに右手が動く形では、左手の鍵盤を押したまま右手を動かします。左手を早く離すと、伴奏の音が途中で消えてしまうからです。

両手で止まったら、曲の最初からではなく、止まった音の1つ前から弾き直します。最初から弾き直すと、止まる所を練習する回数が増えないのです。

片手ずつ仕上げる?最初から両手?曲の難しさで決める

最初から両手で弾く片手ずつ区切って合わせる
向く曲左手が長い音を押さえるだけの曲左右の手が別々のリズムで動く曲
よく出る場面教本のはじめの数曲弾きたい曲の初心者向け編曲版
気をつけること右手のメロディが止まったら片手に戻す右手だけ最後まで進めず、左手も同じ区切りで追いかける

どちらか1つに決めて通す必要はありません。

曲の中で、両手で弾ける所は両手で弾き、止まる所だけ片手に戻せば足ります。

ここは独学で迷いやすい所です。右手だけ曲の最後まで仕上げてから左手に入ると、左手が追いつくまでに時間がかかるでしょう。左右を同じ区切りで進めておけば、両手で合わせる日がずれません。

手順5:教本の最初の短い1曲を通して弾く

この章の答え

教本のはじめに出てくる短い曲を1つ選び、同じ指番号で止まらずに3回続けて弾けたら、その曲は仕上がりです。
電子ピアノの前で教本の最初の曲を両手で弾き、横に置いたスマートフォンで録音している大人の場面

ピアノ教本の曲から始めるのは、手順1から4で練習した音と指番号だけで弾けるように作られているからです。弾きたい曲には、まだ習っていない音や速いリズムが入っていることが多く、1曲目にすると手順を飛ばすことになります。1曲目を通すまでなら、教本の曲のほうが早いです。

弾きたい曲は、この手順の合図が出たあと、2曲目として足せます。そのときは原曲の音を減らして弾きやすく書き直した楽譜(編曲版)で、初心者向けと書かれたものを選ぶと手順1から4の範囲で進めやすくなります。

選ぶのは、片手か両手でドの位置から動かずに弾ける曲です。教本の最初の数ページから、指番号が書かれている曲を選ぶと外れません。

3回続けるのは、1回だけ通せた演奏には偶然が混ざるからです。3回とも同じ指で弾けていれば、指が順番を覚えています。焦る必要はありません。

通す前にスマートフォンで録音し、自分の演奏を聞き返してみましょう。弾いている最中には気づかなかった、止まった所や音が小さくなった所が耳で分かります。

録音した演奏は消さずに残しておくのがおすすめです。1か月たったら、最初の演奏と聞き比べてください。独学でどこまで進んだかが、自分の耳で分かります。

仕上がった曲は翌日も1回弾いてから、次のページに進みます。翌日に弾けなければ、もう1日同じ曲を続けるのが近道です。

1曲通せたら、そこから先は教本を順番に進める段階です。どこまで進んだら次の教本に移るかは、大人のピアノ教本を進める順番と次に進む3つの合図で確かめられます。

教本以外の教材(YouTube・弾きたい曲)は並行していい?

並行して構いません。

ただ、練習の軸は教本1冊に置き、ほかの教材は時間を分けて足すのがおすすめです。

YouTubeにあるピアノの演奏動画やレッスン動画は、手の形と指の動きを目で確かめるのに向いています。教本で止まった所と同じ動きの動画を探して見ると、手順2や手順4の確かめ方として使えるはずです。

動画だけで独学を進めると、動画ごとに練習の順番が違うため、次に何をするかを毎回探すことになります。

弾きたい曲は、手順5の合図が出てから1曲だけ足すのがおすすめです。楽譜は、初心者向けと書かれた編曲版を選ぶと、手順1から4で覚えた音の範囲から大きく外れにくくなります。

初心者が最初はやらなくていいこと

この章の答え

ハノンなどの指の練習曲集、全部の調のスケール、ペダル、原曲のままの楽譜は、最初の1曲を通してからで間に合います。

後に回すのは、どれも最初の1曲には出てこないピアノの技術だからです。名前を知らなくても、いまの練習で困ることはありません。

  • ハノンを1番から順に通す
  • 全部の調のスケール(ドから次のドまで順に弾く音階を、ド以外の音から始める形まで全部弾く練習)
  • 足元のペダルを踏み、音を伸ばしながら弾く
  • 原曲のままの楽譜で弾く
  • メトロノームで速いテンポに合わせる
  • 教本を2冊以上並行する

ハノンは、指を動かす練習だけを集めた教本です。全音楽譜出版社の商品ページ(2026年10月確認)では、『全訳ハノンピアノ教本』を、入門用の教本であるバイエルの後半ごろから併用する教本として案内しています。

出典:全音楽譜出版社「全訳ハノンピアノ教本」(2026年10月確認)

原曲のままの楽譜は、プロの演奏に近い音の数で書かれたものです。弾きたい曲は、手順5の合図が出たら初心者向けの編曲版で弾き始められます。原曲のままの楽譜は、その編曲版を弾けたあとの次の目標にするのがおすすめです。手順3で読める音の範囲から、一気に離れずに済みます。

最初の1曲までは、手順1から5の中身だけを練習します。スケールは、教本の中に出てきたページで覚えれば十分でしょう。最初の1曲にペダルは不要です。

上達が止まりやすい場面と、その場でできる次の手

この章の答え

止まりやすいのは、弾きながら楽譜を読めないとき、指番号がずれるとき、両手が合わないときです。どれも、練習する範囲を小さくし、速さを落とすと先へ進めます。

ピアノの独学がこの3つで止まるのは、頭で処理することが一度に増える場面だからです。始めたばかりなら、この表は止まったときに読み返せば足ります。

止まる場面その場でできること
弾きながら楽譜を読めない弾く前に、その区切りの音名を声に出して読んでおく
指番号がずれるずれた所の指番号を鉛筆で大きく書き、その2音だけ5回繰り返す
両手が合わない左手は小節の最初の音だけ押さえて合わせ、合ったら元に戻す
同じ所で毎回止まる止まる音の1つ前から、その小節だけを3回弾く

どの場面でも、速さを上げるのは止まらずに弾けてからです。速く弾こうとすると、指番号のずれと読み違いが同時に起きます。

手順どおりに進めても同じ所で止まり続けるなら、大人のピアノが上達しない原因を症状別に分けた練習の見直し方で、自分の症状に近いものを探せます。

経験別:どの手順から始めればいいか

この章の答え

ピアノに初めて触る人は手順1から、楽譜が読める人は手順1と2のあと手順4へ進みます。子どもの頃に習った人は、手順5の教本の最初の曲から試します。

独学の入口が人によって違うのは、できることを繰り返すより、合図がまだ出ていない手順から始めたほうが練習の時間を無駄にしないからです。

いまの状態始める手順
ピアノも楽譜も初めて手順1から順に進む
楽譜は読めるが、鍵盤は初めて手順1と2のあと、手順3を飛ばして手順4へ
子どもの頃に習っていた手順5の曲を弾いてみて、止まった手順に戻る
弾きたい曲と期限が決まっている手順1と2のあと、その曲の初心者向け編曲版で手順3から5を進める

子どもの頃に習っていた人は、昔の教本の続きより、いまの指で弾ける所から始めます。指が当時の速さで動かないまま続きに入ると、1ページごとに止まりやすくなるからです。

人前で演奏する日が決まっている人は、その曲の編曲版を手順5の曲として扱います。手順1と2で手の形と指番号を固めてから入ると、曲の途中で指が迷いにくくなるでしょう。

手の形や指使いは、練習の最初の1回をスマートフォンで動画に撮り、手順1のチェックリストと見比べると独学でも確かめられます。録音で止まった所や音の大きさを聞くのと合わせれば、形と音の両方を自分で見直せるでしょう。

それでも合っているか決めきれないときは、オンラインのピアノレッスンや教室の体験レッスンを単発で受け、手元を見てもらうのも1つの方法です。手の形と指番号だけレッスンで確かめ、あとは独学で練習を続ける形も取れます。始め方と教室の選び方は大人のピアノ オンラインレッスンの始め方にまとめました。

よくある質問

楽譜がまったく読めなくても、今日から始められますか?

始められます。手順1と2は楽譜を使わず、鍵盤の位置と指番号だけで進みます。楽譜は手順3で、右手で弾くドからソまでの5つの音から読み始めれば間に合います。

YouTubeだけで独学できますか?教本は要りますか?

手の形や指の動きを見るには、YouTubeの動画が役に立ちます。ただ、動画ごとに練習の順番が違い、次に何をするかを毎回探すことになります。順番の決まった教本を1冊軸にして、止まった所を動画で確かめる使い方が進めやすいです。

1日にどれくらい練習すればいいですか?

この記事では、分数の目安より、毎日鍵盤に触ることを優先しています。短い日でも、その日の手順の合図を1回確かめれば練習はつながります。週末にまとめて長く弾くより、同じ動きを日をまたいで繰り返すほうが、指が順番を覚えます。

持っている教本の順番が、この5つの手順と違うときはどうすればいいですか?

教本の順番どおりに進めて構いません。この記事の5つの手順は、教本のページを進めるときに、次へ進んでいいかを確かめる合図として使えます。教本で指番号や楽譜が先に出てきたら、その手順の合図をそこで確かめてから先へ進みます。

電子キーボードでもこの順番で練習できますか?

できます。真ん中のドの探し方も、指番号も、手の置き方も同じです。押す強さで音の大きさが変わらない機種でも、手順1から5までは進められます。音の強弱を練習する段になったら、楽器を見直す時期です。

まとめ:今日の練習でやること

  • 楽器と教本がある人は、黒鍵の2本組を目印に真ん中のドを見つけ、座る位置と手の形を決める
  • 手順1の合図が出た人は、指番号を声に出しながら、右手でドからソまでを上がって下りる
  • 楽譜で止まっている人は、ドからソまでの5つの音だけを読み、書き込みは外す順番を決めて使う
  • 子どもの頃に習った人は、教本の最初の曲を弾いてみて、止まった手順に戻る
  • 練習の時間を決めかねている人は、毎日ピアノの前に座り、その日の手順の合図を1回確かめる

ここからは教材の紹介です。教本をまだ決めていない人や、手の動きを映像で見ながら独学を進めたい人には、DVD付きの教本という選び方もあります。マナビーノのピアノ講座は、楽譜の読み方や指の使い方、リズムの基礎から始まる、大人の初心者向けのセットです(2026年10月時点の公式情報)。

出典

  1. 全音楽譜出版社「全訳ハノンピアノ教本(バイエル後半頃より併用し、上級まで使う)」(2026.10.14確認)
  2. マナビーノ「ピアノ講座 1〜3弾セット(DVD付き)の収録内容」(2026.10.14確認)

更新履歴

  1. 2026.10.14 公開