教本と曲

初心者のピアノ練習曲は何から弾く?大人の独学で進める4段階と選び方4段階の曲と、楽譜で見る6項目

4段階で選ぶ曲

先に結論

練習曲は教本1冊と弾きたい曲1曲で組み、右手だけの曲から定番曲まで4段階で進めます。

  • 練習曲は教本1冊と弾きたい曲1曲の2本立てで、手の動きで分けた4段階を上がります
  • 今弾けるかは、楽譜の1ページ目を6項目で見て決めます。曲の速さでは決まりません
  • エリーゼのためにやカノンは、入門アレンジから原曲へ同じ曲を弾き直せば届きます

初心者のピアノ練習曲は、教本1冊と、弾けるようになりたい曲1曲を組み合わせて選びます。弾きたい曲は「右手だけ」「両手で1音ずつ」「左手が伴奏」「憧れの定番曲」の4段階で上がるのが近道です。

「初心者向け」の一覧を開くと、童謡の隣にエリーゼのためにや月光が並んでいて、どれが今の自分に弾けるのか見分けにくいですよね。そこで曲を手の動きで4つの段に分け、楽譜のどこを見れば今弾けるか分かるかを6つの項目にまとめました。

想定したのは、電子ピアノかキーボードで独学を始めた大人のピアノ初心者と、子どもの頃に習っていて再開する人です。教材の説明は、2026年10月14日に出版社の商品ページで確かめました。

初心者のピアノ練習曲は「教本1冊+弾きたい曲1曲」を4段階で進める

この章の答え

練習曲は、指と譜読みを鍛える教本1冊と、弾きたい曲1曲の2本立てで選びます。弾きたい曲のほうは、手の動きで分けた4つの段階を順に上がります。

2本立てにするのは、「練習曲」という言葉に2つの意味が混ざっているからです。ひとつはハノンやバーナムのような指の教材で、もうひとつはエリーゼのためにやジブリの曲のような弾けるようになりたい曲を指します。教材だけでは弾く楽しみが減り、曲だけでは同じ所で止まりやすくなるでしょう。

時間の分け方は、教本を長めにとるのがおすすめです。教本で覚えた指の動きを、弾きたい曲で使う順番になるからです。1日15分なら教本に10分、弾きたい曲に5分を目安にして、曲が進まないと感じたら配分を変えてかまいません。

段階は、曲名の有名さではなく、左右の手がどう動くかで分けました。手の動きが同じなら、童謡もクラシックも同じ段です。

段階手の動き曲の例この段で身につくこと
段階1右手だけ。5本の指を5つの鍵盤に置いたままちょうちょう、メリーさんのひつじ、喜びの歌の主旋律指番号と音名を結びつけ、拍を数えながら弾く
段階2右手がメロディ、左手は長い音を1つずつ段階1の曲の両手版、総合教本の両手の曲左右で長さの違う音を同時に押さえる
段階3左手が伴奏や別の旋律で動き続け、手の位置も移るメヌエット ト長調、入門・初級アレンジのジブリやJ-POP伴奏の形を覚え、手の位置を移しながら弾く
段階4原曲かそれに近い楽譜。ペダルや細かい音符が入るエリーゼのために、カノン、ジムノペディ第1番ペダル、広い音域、速い動きの切り替え

見るのは左手です。今いる段は、教本で今弾いている曲を表の「手の動き」と見比べれば決まります。左手が出てこなければ段階1、左手が長い音を1つずつ押さえるだけなら段階2です。左手が休まず動き続ける曲まで進んでいれば、段階3です。

今の段は、曲の名前ではなく、楽譜に書かれた手の動きで決まります。

教本をまだ決めていない人は、大人のピアノ教本の4種類と1冊目の選び方で1冊を決めてから戻ってください。曲の段も合わせやすくなります。

【4段階】大人の初心者におすすめのピアノ練習曲

この章の答え

段階1は右手だけの童謡、段階2は左手が1音ずつ入る曲です。段階3で伴奏の形が入り、段階4の定番曲は入門アレンジから入ります。
電子ピアノの前で、大人の初心者が段階ごとに分けた楽譜を並べて1曲を選んでいる場面

曲の例を楽譜で手の動きを確かめられるものに絞ったのは、同じ曲でも楽譜によって段が変わるからです。表の段は、その書き方をした楽譜の目安として見てください。

段階1:右手だけ・手を動かさずに弾けるメロディ

ピアノに触って間もない初心者が最初に弾く段です。この段の曲は、右手の親指をドに置いたら、ソまでの5つの鍵盤から手を動かさずに弾けます。ちょうちょうとメリーさんのひつじは、メロディがドからソの間に収まる曲でした。

ベートーヴェンの喜びの歌も、主旋律のほとんどがこの5つの音の中で動きます。

身につくのは、指番号と音名の結びつきと、拍を数えながら弾く習慣です。指番号とは、親指を1、小指を5と数える指の呼び名のことです。楽譜では音符の上に小さな数字で書かれています。

音符がまだ読めない人は、音名のふりがなが付いた楽譜で始めれば足ります。読み方も同時に覚えたいなら、楽譜が読めない大人が読めるようになる5つの手順が合うでしょう。

拍を数えながら、1曲を3日続けて止まらずに弾けたら、段階2に進む合図です。

段階2:両手で1音ずつ、左手が単音で動く曲

ピアノを両手で同時に押すのは、この段からです。右手がメロディを弾き、左手は長い音を1つずつ押さえます。長い音とは、白い玉だけの全音符(4拍のばす音)や、白い玉に棒が付いた二分音符(2拍のばす音)のことです。

段階1の童謡に左手の音を足した両手版の楽譜が、ちょうどこの段に当たります。教本の後半に両手の曲が載っていれば、それがこの段の曲です。教本に無いときは、書店や楽譜サービスで童謡の曲集を開き、見本のページで左手が白い音符だけかを見て選ぶと確実です。

左手の音が少なくても、両手にしたばかりのうちは右手がつられて止まりがちでしょう。合うまでの日数は人によって違います。止まるのは段階2の普通の状態で、向き不向きとは関係ありません。

戻し方は、後の章の「両手にすると左右がつられる」にまとめました。左手を長い音のまま、右手と同じテンポで最後まで通せたら段階3です。

段階3:左手が伴奏の形になる曲(入門アレンジのジブリ・J-POPも)

段階3では、左手が伴奏の形になります。伴奏の形とは、ドミソを同時に押さえる和音や、ドソミソのように和音を1音ずつ順に弾く分散和音のことです。初心者がジブリやJ-POPを弾きたいなら、左手がこの形で書かれた入門・初級アレンジを選ぶのがいいでしょう。

楽譜サービスや楽器店で「曲名 入門」「曲名 やさしい」のように探し、見本のページで左手が和音か分散和音になっているかを見れば、この段の楽譜を選べます。

クラシックでは、メヌエット ト長調がこの段の入口です。3拍子の曲で、左手は和音ではなく、右手とは別のゆっくりした旋律を弾き続けます。

右手の位置も途中で動きます。指を置きっぱなしにできた段階1との違いは、ここで一番はっきり出るはずです。

調とは、曲の中心になる音と、どの黒鍵を使うかの決まりです。ト長調はソを中心にした調で、ファにシャープが付くので、使う黒鍵は1つで済みます。

伴奏の形は、左手だけで1日5分ずつ弾くと早く手になじむでしょう。左手の伴奏を見ずに弾けて、手の位置を移す所で止まらなくなったら、段階4の入門アレンジに進めます。

段階4:エリーゼのために・カノンなど憧れの定番曲は、入門アレンジから原曲へ

エリーゼのためにやカノンは、原曲の楽譜で見ると段階4の曲です。ピアニストの演奏で耳にするエリーゼのためには、この原曲の形でしょう。それでも入門アレンジなら、段階2か3のうちに同じ曲を弾き始められます。

入門アレンジは、メロディを残したまま、左手や細かい音を減らして弾きやすくした楽譜です。通して弾けたなら、その曲を弾けたといってかまいません。

エリーゼのためにの冒頭は、右手がミとレのシャープを交互に弾く形で、ゆっくり聞くとやさしく感じる部分でした。原曲は中間部に入ると、細かい音符の速い動きや、左手の刻みが出てきます。刻みとは、同じ低い音を細かいリズムで何度も続けて弾く動きのことです。

冒頭だけ弾けて途中で止まりやすいのは、この切り替わりのせいです。

パッヘルベルのカノンは、もともと弦楽器のための曲でした。ピアノの楽譜はどれも編曲なので、入門から上級まで難しさの違う楽譜がそろっています。

  1. 入門アレンジで弾く

    右手がメロディ、左手は長い音だけの楽譜です。ここで曲の形を覚えます。
  2. 初級アレンジに替える

    左手に伴奏の形が入った楽譜に替えて、段階3で覚えた形をこの曲で使います。
  3. 原曲の楽譜を開く

    弾けない小節を次の章の6項目で見て、届かない所だけを部分練習すれば大丈夫です。

同じ曲を弾き直すころには、メロディと曲の形はもう手と耳に入っているはずです。原曲で新しく練習するのは、アレンジで省かれていた動きだけになります。

憧れの曲は後回しにせず、入門アレンジから同じ曲を弾き直していくと、原曲に近づきやすくなります。

その練習曲が今弾けるかは、楽譜の6項目で確かめる

この章の答え

判断の材料は、楽譜の1ページ目から読み取れる6つの項目です。今の段より上の項目が2つ以上なら、1段やさしい楽譜を探すほうが早いでしょう。

曲名や曲の速さでは判断できません。ゆっくりな曲にも、跳ぶ動きやペダルが入っているからです。ジムノペディ第1番はテンポの遅い曲ですが、左手は低い音と真ん中の和音の間を小節ごとに行き来し、ペダルも続きます。手の動きで見れば、この曲は段階4です。

見る項目楽譜のどこを見るか段階の目安
両手が同時に動くか下の段(左手)にどれだけ音符が並んでいるか左手なしは段階1、長い音だけなら段階2、伴奏や旋律で動くなら段階3以上
手の位置の移動指番号が途中で1に戻る所(指くぐり)、離れた音への跳び移動なしは段階1から2、ときどきなら段階3、小節ごとなら段階4
黒鍵の数左端に書かれたシャープとフラット、曲の途中で音符の横に付くシャープとフラット記号なしは段階1から2、1つなら段階3、途中の記号が多ければ段階4
一番低い音と高い音ページ全体で最も低い音と最も高い音手持ちの鍵盤に収まるかを先に見る
一番細かい音符とテンポ音符に付いた旗や横棒の本数と、左上の速さの指示4分音符までは段階1から2、8分音符が続けば段階3、それより細かければ段階4
ペダル楽譜の下に書かれたPed.の記号記号なしは段階3まで、あれば段階4

表に出てくる言葉の見分け方です。

  • 指くぐり:親指を他の指の下にくぐらせて手の位置を移す弾き方。指番号が3や4のあとに1へ戻る所に出ます
  • 臨時記号:曲の途中で音符のすぐ左に付くシャープやフラット。左端の記号は曲全体に、臨時記号はその小節の中だけに付きます
  • 4分音符・8分音符・16分音符:黒い玉に棒だけなら4分音符、旗か横棒が1本なら8分音符、2本なら16分音符です
  • 速さの指示:楽譜の左上に書かれた「♩=100」のような数字や、速さを表す言葉
  • Ped.:右のペダルを踏む合図。踏んでいる間、鍵盤から指を離しても音が残ります

音符がまだ読めない初心者は、形だけで分かる3項目から見れば足ります。左手の段に音符が多いか、シャープとフラットがいくつあるか、Ped.の記号があるかの3つです。慣れないうちは、この表と楽譜を見比べながら1項目ずつ見ていけば判断できます。

項目ごとの段がばらばらに出たら、上にはみ出した項目の数で決めるのがおすすめです。1つだけなら、その所を部分練習すれば届くでしょう。2つ以上なら、同じ曲の1段やさしいアレンジに替えるのが正解です。

音域は、鍵盤の少ないキーボードや小型の電子ピアノを使っている人ほど先に見ておくと安心です。両端の音が手持ちの鍵盤に収まっていれば、その楽譜は段の判断に進めます。はみ出す音があったら、同じ曲の別のアレンジを探せば済みます。

鍵盤の数で弾ける範囲がどう変わるかは、大人の初心者向け電子ピアノの選び方と鍵盤の見方にまとめました。Ped.の記号がある曲は、手持ちの電子ピアノでペダルが使えるかを取扱説明書で確かめておくと安心です。

楽譜を買う前に、1ページ目だけでも6項目を当てはめると、弾けない楽譜を選ぶ失敗が減ります。

同じ曲でも楽譜のアレンジとレベル表記で難しさが変わる

楽譜に書かれた入門・初級・中級の表記は、出版社や楽譜サービスごとに基準がばらばらです。表記を比べてよいのは、同じ出版社か同じサービスの中だけです。

表記が初級でも、左手に分散和音が続いてペダルが入っていれば、6項目の上では段階4に近い楽譜といえます。ダウンロード楽譜のサービスには、同じ曲に難しさの違う楽譜を何種類も並べているものもあります。

表記は候補を絞るのに使い、見本のページに6項目を当てはめてから1つに決めるのが確実です。

次の曲に進んでいい合図は、曲数ではなく3つの「できていること」

この章の答え

止まらずに最後まで通せること、両手で決めたテンポで弾けること、新しい曲の音をすぐ拾えること。この3つが出たら、次の段の曲に移ります。
楽譜の余白に始めた日と通せた日を書き込みながら、次に弾く曲を考えている場面

曲数や月数では決めません。大人の初心者が1日にピアノに触れる時間は、人によって大きく違うからです。毎日30分弾ける人もいれば、週に2回だけの人もいるでしょう。同じ曲数でも、手に残る動きの量は変わります。

  • 今の曲を、止まらずに最後まで通せる
  • 片手ずつではなく両手で、決めたテンポのまま弾ける
  • 同じ段の新しい曲で、音と指を決める作業が前の曲より早く終わる

3つ目の作業が譜読みです。楽譜の余白に始めた日と通せた日を書いておけば、前の曲より何日早くなったかが見えるはずです。

合図を待つ間も、1日5分の弾きたい曲の時間で、憧れの曲は入門アレンジのまま弾き進められます。原曲の楽譜に移るのは、段階3の合図が出てからにすると、中間部で左手が追いつかずに止まる場面を減らせるでしょう。

この合図は弾きたい曲を替える目安で、教本を替える時期は別に見ます。教本の合図は、大人のピアノ教本の順番と次の1冊に移る合図に分けてまとめました。

ハノン・バーナム・ブルグミュラーなどの基礎教材は、いつ・何のために足すか

この章の答え

総合教本を1冊進めているうちは、基礎はその1冊で足ります。弾きたい曲で同じ所につまずくようになったら、その弱点に合う教材を1冊だけ足します。

足すのは後で構いません。総合教本には楽譜の読み方から両手の曲までが順に入っていて、指の練習もこの1冊が受け持つからです。総合教本とは、楽譜の読み方、指の練習、両手の曲が1冊の中に順番に並んだ初心者向けの教本のことです。手元の教本の目次に、読み方の説明から両手の曲までが並んでいれば、総合教本として使えます。

教材何を鍛える本か足す目安
バーナム:ピアノテクニック(導入書)「歩こう」「走ろう」のような題の付いた短い指の課題段階2から3で、指の形が崩れるとき
全訳ハノンピアノ教本指の独立と、同じ動きのくり返し段階3から先で、速い所の指がもつれるとき
ブルクミュラー:25の練習曲題の付いた短い曲で、1曲を仕上げる練習段階3から4へ上がるとき
ツェルニー:30番練習曲曲の形をした練習で、弾くための技術を身につける総合教本を終えてから

足す目安は、全音楽譜出版社の商品ページにある対象レベルの説明と、バーナムは収録曲の内容をもとにしました(2026年10月14日に確認)。そこで基準に使われているバイエルは、昔から使われてきた定番の総合教本の名前です。手元の大人向け教本とどこが対応するかは本によって違うので、迷ったら表の「足す目安」の段階で判断できます。

出典:全音楽譜出版社「全訳ハノンピアノ教本」(2026年10月確認)

ハノンは、全音楽譜出版社の説明では上級まで使う本で、終わらせて次に進む本とは違います。指がもつれる所が出てから、1日2分の指ならしとして開けば間に合うでしょう。ブルクミュラーは、ブルグミュラーと書かれることもある同じ本です。

出典:全音楽譜出版社「ブルクミュラー:25の練習曲」(2026年10月確認)

出典:全音楽譜出版社「バーナム:ピアノテクニック(導入書)」(2026年10月確認)

出典:全音楽譜出版社「ツェルニー:30番練習曲」(2026年10月確認)

基礎教材は、弾きたい曲で弱点が見えてから1冊だけ足せば間に合います。

練習曲の楽譜はどこで手に入れるか

この章の答え

教本や曲集、ダウンロード楽譜、無料楽譜、動画の4つから選びます。段階1と2は教本と曲集、段階3と4の弾きたい曲はダウンロード楽譜が選びやすい方法です。
楽器店の楽譜売り場で、大人が音名と指番号の付いた曲集を開いて中身を確かめている場面

段によって入手先が変わるのは、段階3から先はアレンジの選び方で弾けるかどうかが決まるからです。曲集は1冊の中で難しさがそろっている反面、弾きたい曲の難しさを自分で選べません。

方法向いている段階選べるアレンジの幅費用
教本や曲集を買う段階1から21冊の中で難しさがそろっている本1冊ぶん
ダウンロード楽譜を1曲ずつ買う段階3から4同じ曲で入門から原曲に近いものまで選べる1曲ずつ
無料楽譜を使うクラシックと童謡の全段階配っている楽譜の中から選ぶかからない
動画を見て練習する段階1から2で音の並びを覚えるとき動画ごとに決まっている無料のものと有料のものがある

探すときは「曲名 入門」のように、曲名と難しさの言葉を合わせて調べます。見本のページで前の章の3項目を見て、段が合った楽譜だけを買えば買い直しが減ります。

無料で使える楽譜と、買う楽譜の分け方

作曲者が亡くなってから著作権の保護期間が過ぎた曲は、楽譜を無料で配っているサイトから使えます。ベートーヴェンが亡くなったのは1827年、バッハは1750年です。こうしたクラシックと、昔からある童謡の多くがこれに当たります。

J-POPやジブリの曲は保護期間の中です。出版社の曲集やダウンロード楽譜のような、正規の販売先から買う楽譜を使います。正規の販売先で買った楽譜なら、権利のことを自分で調べる必要はありません。

クラシックの曲でも、新しく作られたやさしいアレンジには、編曲した人の権利があります。無料の編曲楽譜を使うときは、サイトに編曲者の名前と、配布してよいという説明が載っているかを見ておきましょう。

判断がつかない編曲は、正規の販売先の楽譜に替えれば安心して弾けます。

楽譜が読めないうちは音名・指番号付きの楽譜を選ぶ

段階1と2の初心者には、全部の音符にドレミの音名と指番号が付いた楽譜がおすすめです。付いているかどうかは、見本のページか、書店で1冊を開けば1分で確かめられます。

ピアノの演奏動画のうち、上から音符が流れてくるものは、音の並びと鍵盤の位置を覚えるのに使えます。ただ、指番号と拍の長さは画面から読み取りにくいものです。動画で並びを覚えたら、同じ曲の指番号付きの楽譜で指を決めると迷いません。

動画で冒頭だけ覚えた曲は、続きを音名付きのダウンロード楽譜で1曲ぶん買うと、最後まで通せます。

選んだ練習曲でつまずきやすい場面と、その戻し方

この章の答え

止まったら曲を替える前に、1段やさしいアレンジか、止まった小節だけの部分練習に戻します。

止まった所には、今の段で足りない動きが出ています。別の曲に移っても、同じ動きが出てきた所でまた手が止まるでしょう。そのため、曲は替えずに戻します。

1曲を区切って仕上げる手順は、大人が1曲を仕上げる5ステップの練習方法に書きました。この章で扱うのは、選ぶ曲や楽譜を替えれば動き出す場面です。

両手にすると左右がつられる

段階2でつられるのは、左右の手に長さの違う音を同時に任せるのが初めてだからです。片手ずつ弾けている曲なら、左手の音を減らした形から合わせ直せば足ります。

  1. 片手ずつ通す

    右手、左手の順に、止まらずに弾けるテンポを決めます。
  2. 左手を1音に減らす

    各小節の最初の音だけを左手で押さえ、右手と合わせてみてください。
  3. 左手を楽譜どおりに戻す

    合わせられたら、省いた左手の音を1日1つずつ足していけば大丈夫です。

両手で止まるのは段階2の通り道で、左手を減らした形から合わせ直せば動き出します。

冒頭だけ弾けて、途中から止まる

憧れの曲で一番起きやすい止まり方です。止まった小節を6項目で見ると、冒頭には無かった項目が1つか2つ出ています。エリーゼのためにで言えば、細かい音符と左手の刻みが加わる中間部がその場所でした。

その部分だけ1段やさしいアレンジで弾くか、同じ段の別の曲で同じ動きに慣れてから戻るのがいいでしょう。冒頭から弾き直すより、止まる小節の前後だけを1日5回ずつ弾くほうが早く通るでしょう。

毎日弾いても仕上がらず、飽きてくる

1曲に1か月以上かけても仕上がらないなら、曲が今の段より上にある見込みが高いです。6項目で段を確かめ、上にあれば今の段の短い曲を1曲はさみます。

教本の曲だけで飽きた人は、同じ段の弾きたい曲を1曲足すと続けやすくなります。段が合っていれば、教本で覚えた動きをその曲で使えるはずです。

【状況別】最初の1曲の選び方

この章の答え

これから始める人は段階1、再開する人は昔弾いた段より下から入ります。弾きたい曲が決まっている人は、その曲の入門アレンジからです。

入る段を状況で分けるのは、楽譜を読む力と手の動きの戻り方が人によって違うからです。迷ったら低いほうの段から入り、合図が出たらすぐに上げましょう。

これから始める人・楽譜がまだ読めない人

ピアノを始めたばかりの初心者は段階1からです。教本の最初の曲と並べて、ちょうちょうのような右手だけの曲を1曲弾きます。最初の1週間は、音名と指番号の付いた楽譜だけで十分です。

電子ピアノやキーボードをこれから買う人は、鍵盤の数で弾ける楽譜の範囲が変わると先に知っておくと、楽譜の買い直しを防げるはずです。

子どもの頃に習っていて再開する人

昔弾いた曲の段より、下の段の曲から戻すのが安全です。楽譜を読む力は残りやすい一方で、指の動く速さは離れていた年数のぶん落ちています。

何段下げるかの物差しは、年数より6項目です。昔の曲の楽譜を開き、今の指で届かない項目が2つ以上あれば1段下の曲集から入ります。合図が出たら、昔の曲へ戻ってかまいません。

ブルクミュラーまで習っていた人なら、その中で弾いた記憶のある曲から始めると、今の段の見当が付けやすくなります。

弾きたい曲がはっきり決まっている人

その曲の入門アレンジの楽譜を先に買い、6項目で段を確かめます。届かない項目があれば、その動きが入った別の曲を1曲か2曲はさむとつながります。あとは入門から初級、原曲の順です。

ペダルの踏み方や指くぐりの癖は、録音や動画では自分で確かめにくい所でした。独学のまま続けてかまいません。ただ、同じ所で2週間以上動かないときは、教室やオンラインレッスンでその所だけ見てもらう方法も選べます。

よくある質問

エリーゼのためには初心者でも弾けますか?

入門アレンジの楽譜なら、両手が合うようになった段階2から3のうちに弾き始められます。入門アレンジはメロディを残して左手や細かい音を減らした楽譜なので、通して弾ければその曲を弾けたことになります。原曲は中間部に細かい音符と左手の刻みが入る段階4の曲で、入門、初級、原曲の順に同じ曲を弾き直すと近づけます。

楽譜が読めなくても、動画を見て練習していいですか?

音の並びと鍵盤の位置を覚えるのには使えます。指番号と拍の長さは画面から読み取りにくいので、同じ曲の音名と指番号が付いた楽譜を1枚用意し、指はその楽譜で決めます。動画と楽譜を並べて使っていると、次の曲から楽譜だけで音を拾える場面が増えていきます。

鍵盤の少ないキーボードでも練習曲は弾けますか?

楽譜の一番低い音と一番高い音が、手持ちの鍵盤に収まっていれば弾けます。何鍵あれば足りるかは楽譜ごとに違うので、鍵盤の数ではなく楽譜の両端の音で判断します。段階1と2の曲は使う音の範囲が狭く、段階4の原曲は音域が広がるため、買う前に見本のページで両端の音を確かめておくと安心です。

何曲弾いたら中級の曲に進めますか?

曲数では決まりません。今の曲を止まらずに通せる、両手で決めたテンポで弾ける、新しい曲の音を前より早く拾える、の3つが出たら次の段に進みます。好きな曲だけを選んで弾いてきた人は、6項目のうち避けてきた項目がないかを見ると、抜けている所が分かります。

段階1から段階4まで、どれくらいの期間がかかりますか?

1日に弾ける時間と練習する日数で変わるので、月数では決めていません。目安にするのは、今の曲を止まらずに通せるか、両手で決めたテンポで弾けるか、新しい曲の音を前より早く拾えるかの3つの合図です。楽譜の余白に始めた日と通せた日を書いておくと、自分のペースが見えてきます。

すでに教本を持っていますが、買い直したほうがいいですか?

今の教本を続ければ足ります。目次に楽譜の読み方から両手の曲までが並んでいれば総合教本として使えるので、その1冊に弾きたい曲を1曲足して進めます。教本を替える時期は、教本の順番と次の1冊に移る合図をまとめた記事で確かめられます。

まとめ:今日、段階を決めて1曲の楽譜を手に入れる

  • 練習曲は、教本1冊と弾きたい曲1曲の2本立てで選びます
  • 弾きたい曲は、右手だけの曲から定番曲まで4段階で上がるのが近道です
  • 今弾けるかの判断材料は、楽譜の1ページ目にある6項目です
  • 憧れの定番曲は、入門アレンジから原曲まで同じ曲を弾き直して近づけます

今日10分あれば、次の順で1曲目を決められるでしょう。

  1. 今の段を決める

    教本で今弾いている曲の左手を見て、最初の章の表に当てはめます。段階1か2なら、右手だけか左手が長い音だけの曲が候補です。
  2. 同じ段の曲を探す

    弾きたい曲を「曲名 入門」で探し、見本のページで左手の段・シャープとフラットの数・Ped.の3つを見ます。
  3. 1曲ぶん手に入れる

    段が合った楽譜を1曲ぶん買うか、教本の両手の曲を弾きたい曲にしても大丈夫です。

これから始める人はちょうちょうのような右手だけの曲がいいでしょう。再開する人は昔の曲の1段下、弾きたい曲がある人はその入門アレンジの楽譜から始められます。

すでに教本を持っている人は、その教本を続ければ十分です。これから1冊目を選ぶ人で、映像を見ながら順番どおりに進めたいなら、DVD付きの教本の中身を公式ページで確かめられます。

出典

  1. 全音楽譜出版社「ブルクミュラー:25の練習曲(対象レベルと収録曲)」(2026.10.14確認)
  2. 全音楽譜出版社「全訳ハノンピアノ教本(バイエル後半頃より併用し、上級まで使う)」(2026.10.14確認)
  3. 全音楽譜出版社「バーナム:ピアノテクニック(導入書)の収録内容」(2026.10.14確認)
  4. 全音楽譜出版社「ツェルニー:30番練習曲(対象レベル)」(2026.10.14確認)

更新履歴

  1. 2026.10.14 公開