続ける・上達の悩み
大人がピアノを両手で弾けないのは年齢のせい?つられる原因と練習の順番崩れる場所を見分け、1つずつ合わせる

先に結論
年齢や不器用さのせいではありません。片手、リズムと同時に鳴る音、ゆっくり両手の3段階を順に足すと合わせやすくなります。
- 片手も不安定、両手で止まる、つられる、速くすると崩れる、で戻る段階が変わります
- 片手か両手かは、曲全体でなく区切りごとに、とても遅く両手で弾けるかで決めます
- ゆっくりでも合わない曲は教本の1つ前に戻し、数週間止まるなら人に見てもらいます
大人がピアノを両手で弾けないのは、年齢や不器用さのせいではありません。片手がまだ仕上がっていないか、両手で合わせる要素を一度に増やしすぎているかのどちらかです。崩れる場所を見分けて、合わせる要素を1つずつ足せば、左右の手はそろえやすくなります。
対象は、大人になってからピアノを独学で始め、片手ずつならゆっくり弾けるようになった人です。子どもの頃に習っていて再開し、昔のように両手が合わない人にも同じ順番が使えます。
同じ小節で何度も止まると、自分は不器用なのかと考えてしまいますよね。
大人がピアノを両手で弾けないのは、年齢や脳のせいではない
この章の答え
段階の話になるのは、両手で弾くとき、右手と左手に別々の指示を同時に出しているからです。片手ずつの練習では、この「同時に出す」動きを一度も練習していません。片手が弾けても両手で止まるのは、順番どおりの出来事です。
確かめ方は、止まる所を1〜2小節だけ取り出して、とても遅いテンポで両手を合わせてみることです。それで1回でも通して演奏できるなら、手が動かないのではなく、段階を飛ばしていたと分かります。
「右手と左手は脳の別の場所が動かしている」「大人は脳の作りが違う」という説明を見て、不安になった人もいるでしょう。この記事で手がかりにするのは、どの段階で崩れているかという、自分の耳と手で確かめられることだけです。
子どもの頃のピアノを再開した人は、昔の感覚が残っているぶん、片手の確認を飛ばして両手に入りがちです。昔弾けた曲ほど、1回目は片手から弾き直すと崩れる場所が見えてきます。
どこで崩れるかを見分ける:片手・両手・つられる・速くすると
この章の答え

症状で分けるのは、同じ「両手で弾けない」でも、足りないものが症状ごとに違うからです。片手が不安定なまま合わせる練習を重ねても、止まる小節は同じ場所に残ります。
| 症状 | 足りないもの | 戻る段階 |
|---|---|---|
| 片手でも途中で止まる、指番号に迷う | 片手の仕上がり | 手順1 片手を仕上げる |
| 片手はできるが、両手にすると止まる | 左右の音が重なる位置の確認 | 手順2 同時に鳴る音をそろえる |
| 片方の手につられて、同じリズムで動く | 左右で違うリズムの練習 | 手順2 リズムだけ両手でたたく |
| ゆっくりなら弾けるが、速くすると崩れる | テンポを上げる前のつなぎ | 手順3 区切ってから上げる |
| 左手だけ極端に難しく、どの手順でも止まる | 曲のレベル | 曲と教本を1段戻す |
つられるとは、右手の動きに引っぱられて、左手まで同じリズムで動いてしまう状態のことです。左手の伴奏が、右手のメロディと同じタイミングで鳴ってしまうなら、この行に当たります。
「両手にすると止まる」人も「つられる」人も、手順2の最初のステップ(ひざでリズムをたたく)から始めます。2つ以上当てはまる人は、表の上の行から確かめてください。上の段階が崩れたままだと、下の段階の練習も同じ小節で止まるからです。
自分の行が決まったら、1回の練習ではその行の段階だけを試せば十分です。
両手のほかに、指が動かない、楽譜が追いつかないといった悩みも重なっている人は、大人のピアノが上達しない原因を症状別に整理した記事で全体を先に見ておけます。
片手ずつか、いきなり両手か:迷ったときの決め方
この章の答え
区切りごとに決めるのは、同じ曲の中にも、左手が単純で合わせやすい所と、左右が別々に動く難しい所が混ざっているからです。拍は、曲の中で一定の間隔で刻まれる区切りのことです。とても遅いテンポとは、拍を声に出して数えながら次の音を探しても間に合う速さを指します。
右手を曲の最後まで覚えてから左手に入る進め方は、遠回りになりがちです。左手が追いつくまで、両手で弾ける区切りが1つも増えません。迷う区切りなら、片手からのほうが確実です。
片手の時間は、両手で止まる区切りにだけ使います。
区切りの長さの決め方と1曲を仕上げるまでの流れは、1曲を仕上げる5ステップの練習方法にまとめました。
両手で弾けるようになる練習の順番と、次に進む合図
この章の答え

合図を置くのは、独学では次へ進む時期を自分で決めるしかないからです。
1回の練習で増やす要素は1つだけにします。音、リズム、速さを同時に足すと、どこで崩れたのかが分からなくなるからです。
1. 片手ずつ、止まらず迷わず弾けるまで仕上げる
片手の仕上げを先に置くのは、片手で迷う音は、両手にしたときも同じ所で止まるからです。両手になると、迷っている間にもう片方の手が先へ進んでしまいます。
指番号を楽譜に鉛筆で書き、毎回同じ指で弾くのが基本です。指番号は、親指が1、小指が5です。
大人の独学では、右手のメロディばかり先に弾きこみ、左手の練習が足りていないことがよくあります。左手だけで弾く回数は、右手と同じにそろえるのが目安です。1回の練習の中で左手から先に弾くと、回数をそろえやすくなります。
片手ずつ、指番号に迷わず止まらずに続けて3回弾けたら、次の段階へ進めます。手元を見ながらで構いません。
2. リズムだけ両手でたたき、同時に鳴る音をそろえる
音を鳴らす前にリズムだけを合わせるのは、鍵盤を探す仕事を外すと、左右で違うリズムを刻むことだけに頭を使えるからです。ひざでたたいてもずれるなら原因はリズム、ひざでは合うなら原因は鍵盤の上で音を探すことにある、と分けられます。
ひざでリズムをたたく
区切りの中だけ、右手のリズムを右ひざで、左手のリズムを左ひざでたたきます。拍を声に出して数えれば、ずれた所はすぐに分かるでしょう。同時に鳴る音に線を引く
楽譜で右手と左手が同じ拍に重なる音を探し、上下を鉛筆の縦線で結ぶ作業です。線の所だけ両手で弾く
線で結んだ音だけを順に両手で押さえます。間の音は、まだ飛ばして構いません。間の音を足す
線と線の間の音を、片方の手から1つずつ足していけば、区切りの両手ができあがりです。
ひざのリズムと線の所だけの両手が、どちらも3回続けて止まらずに弾けたら、合図が出たと考えてよいでしょう。
3. 短く区切ってゆっくり両手で合わせ、つないでからテンポを上げる
区切りを短くするのは、両手になると一度に考えることが増え、長い範囲では頭が追いつかないからです。区切りは1〜2小節にし、片手で弾けたテンポよりさらに遅くして合わせます。小節は、楽譜の縦線で区切られた1区画を指します。
合った区切りどうしは、つなぎ目の前後を重ねて練習するのがコツです。1小節目と2小節目が弾けたら、1小節目の終わりから2小節目の頭までを取り出して弾きます。
合っているかどうかは、弾いている最中の耳だけでは判断しにくいものです。スマートフォンで録音し、線で結んだ音が1つに聞こえるかを聞き返すと、自分で確かめる物差しができます。録音は毎回でなくてよく、テンポを上げる前に3回続けて弾けたかを確かめるときだけで十分でしょう。
- 区切りを両手で、続けて3回止まらずに弾ける
- つなぎ目で手が止まらない
- 録音を聞き返して、線で結んだ音がずれていない
- 弾き終えたとき、肩と手首に力が残っていない
テンポは、合図が出てから少しずつ上げます。上げて崩れたら、1つ前の速さに戻せば十分です。1日に長く弾くより、1〜2小節の区切り1つを試せる短い時間でも毎日鍵盤に触れるほうが、合わせた感覚を翌日に持ち越せます。
ゆっくりでも合わないなら、曲と教本を1段戻す
この章の答え
戻してよいのは、左手が細かく動く曲では、合わせる練習の前に左手そのものの練習が追いつかないからです。左手の形で見ると、両手で合わせやすい順は次のとおりです。
- 左手が長い音を押さえるだけの曲
- 左手が和音(2つ以上の音)を同時に押さえる曲
- 左手が分散和音で1音ずつ動く曲
- 左手が右手と違うリズムで細かく動く曲
分散和音は、和音をばらして1音ずつ順に弾く形を指します。同じ曲を、音を減らすなどして易しく書き直した楽譜は編曲版と呼ばれます。楽譜店や楽譜の通販サイトで、曲名と「初級」などの難しさの表示から探すと見つけやすいでしょう。
1回練習するたびに日付を楽譜の余白に書いておくと、同じ区切りで何週間止まっているかが数えられます。
- 手順3を数週間続けても、両手で弾ける区切りが増えない
- 1ページの中に、片手でも止まる小節が多い
- 左手が分散和音で動き、右手と違うリズムが続く
弾きたい曲を手放したくない人は、易しい曲を練習の中心にし、弾きたい曲は1日の練習の最後に少しだけ弾く並行のやり方がおすすめです。
戻した曲を両手で止まらずに演奏できたら、元の曲に戻る準備ができた合図です。
どこまで戻るかは、大人のピアノ教本の順番と次に進む合図で段ごとに確かめられます。
電子ピアノ・キーボードの環境で合わせにくくなっていないか
この章の答え

環境を見直すのは、両手をそろえるときは、左右の音が重なったかを耳で聞いて確かめるからです。聞こえ方や手の位置がずれていると、合っているかどうかの判断もずれます。
- ヘッドホンで弾いていて、左手の低い音が右手より聞き取りにくい
- キーボードの左端に楽譜の低い音が無く、左手を高い位置で弾いている
- 椅子の高さが合わず、左手を伸ばすと体が傾く
- 鍵盤の左側と右側で別の楽器の音が鳴る
電子ピアノの左右で別の楽器の音が鳴るときは、そう切り替える設定が入っています。戻し方は、機種の取扱説明書で確かめるのが確実です。
ヘッドホンで左手の音が聞き取りにくいと感じたら、スピーカーから鳴らして同じ区切りを弾き比べてください。楽器の設定の問題か、耳に届く音の問題かを分けられます。
買い替えを考えるのは、設定と座る位置を直しても、左手の音が鍵盤に収まらないときです。
キーボードから電子ピアノに移る目安は、電子ピアノとキーボードの違いにまとめています。
独学で直せること、人に見てもらったほうがいいこと
この章の答え
線を引くのは、手の形と力の入り方が、弾いている本人からは見えにくいからです。録画すれば形は見えますが、どこがずれているかの基準を自分で持つのは難しいでしょう。1回の体験レッスンでも、手の形は横から見てもらえます。
- 同じ段階の合図が、数週間たっても出ない
- 両手にすると肩や手首に力が入り、弾き終えてもこわばりが残る
- 録音を聞いても、ずれている場所が分からない
独学は続けたまま、止まっている段階だけを一度見てもらう使い方で足ります。
講師に見てもらう先の選び方は、大人の初心者がピアノ教室を選ぶ手順で比べられます。
練習の順番を決めてほしいなら、映像を見ながら進める教本
この章の答え
教本に任せる方法を挙げるのは、曲の選び方や区切り方、戻る位置を毎回自分で決める作業が、独学では負担になりやすいからです。
ここからは、当サイトが紹介している教材の話です。手元の教本で手順を試す人は、この章を飛ばしても困りません。マナビーノのピアノ講座1〜3弾セットは、DVDの映像を見ながら1曲ずつ進める、大人の初心者向けの教本です。
2026年10月時点の公式ページでは、第1弾(レッスン10回分)で右手と左手の基本の決まりごとから和音を使った両手の演奏へ進み、第2弾(8回分)で右手と左手のタイミングを扱う構成になっています。
楽譜にはすべてドレミが書いてあります。向いているのは、手順2の段階で、左右の音がどう重なるかを先生の手元の映像で確かめたい人です。
価格と返品の条件は変わることがあるため、注文の前に公式ページで確かめておきましょう。
出典:マナビーノ「ピアノ講座 1〜3弾セット(DVD付き)の収録内容」(2026年10月確認)
教本が向かない人と、ほかの選択肢
この章の答え
向き不向きが分かれるのは、映像付きの教本は練習の順番を示してくれても、自分の手の形までは見てもらえないからです。おすすめは、手元の教本で手順1から試すことです。
- 手の形や力の入り方のクセが気になるなら、教室かオンラインの体験レッスン
- 毎週決まった日に見てほしいなら、継続のレッスン(料金と回数は各教室の公式サイトで確かめる)
- 費用をかけたくないなら、教本の1つ前の曲に戻して独学のまま
- 手順1から3をまだ試していないなら、今の教本のまま
よくある質問
大人になってからでも、両手で弾けるようになりますか?
年齢を理由に両手の練習をあきらめる必要はありません。大人は練習の順番を理屈で理解して組み替えられるので、合図を決めて段階を1つずつ進めると、進み具合を確かめながら続けられます。比べる相手は、先週より両手で弾ける区切りが増えたかどうかです。
両手で弾けるようになるまで、どれくらいかかりますか?
期間は、曲の難しさと1日に使える練習時間で人ごとに変わります。日数で比べるより、片手が仕上がった、区切りを両手で3回続けて止まらずに弾けた、という合図が出たかで進み具合を測ります。練習した日を楽譜に書いておき、数週間同じ合図が出ないときは、教本の1つ前の曲に戻すか、人に一度見てもらう時期です。
左手に右手を合わせるのと、右手に左手を合わせるのと、どちらが正しいですか?
どちらかの手に合わせるより、両手とも拍にそろえると崩れにくくなります。メトロノーム(一定の速さで拍を鳴らす道具)の拍に左手の伴奏を乗せ、その拍に右手の音を重ねます。電子ピアノに付いているかは、取扱説明書で確かめられます。合っているかは録音を聞き返し、同時に鳴るはずの音が1つに聞こえるかで確かめます。
両手なら弾けるのに、片手だけだと弾けません。直したほうがいいですか?
両手の動きをまとめて体で覚えている状態で、よくあることです。そのままでも曲は弾けますが、途中で崩れたときに戻る場所がありません。片手ずつでも弾けるようにしておくと、間違えた小節から弾き直せます。
1日に何分くらい練習すればいいですか?
決まった分数より、毎日鍵盤に触れることを優先します。1回の練習で試す段階は1つだけなので、区切り1つを片手とひざのリズムで確かめられる長さがあれば足ります。長く弾けた日も、増やす要素は1つにとどめます。
まとめ
- 両手で崩れるのは、左右で違う動きを同時にこなす段階の途中だからで、年齢や不器用さとは別の話です
- 早見表で症状を1つ選び、片手、リズムと同時の音、区切ってゆっくり、の順に戻る段階を決めます
- ゆっくりでも合わない曲は1段戻し、数週間同じ段階で止まるなら人に一度見てもらいます
次の1回の練習では、止まる小節に鉛筆で印をつけ、早見表で自分の行を選んで、その段階を1つだけ試してください。両手で止まる人とつられる人は、ひざでリズムをたたくところからです。
練習した日を楽譜に書いておき、数週間たっても同じ段階で止まるなら、教本の1つ前の曲に戻すか、体験レッスンで一度見てもらいましょう。練習の順番を自分で決めるのが負担なら、映像付きの教本で流れをそろえ直す方法もあります。
出典
- マナビーノ「ピアノ講座 1〜3弾セット(DVD付き)の収録内容」(2026.10.15確認)
更新履歴
- 2026.10.15 公開